山本周五郎『さぶ』(新潮文庫刊)

 山本周五郎賞なるものがある。この賞を受賞した作品は、何作か読んでいるのだが、いかんせん「山本周五郎」の作品を読んだことがないな、と気付いた若き日の小生は、古本屋にて『さぶ』を購入した。ただ、作品名を聞いたことがある、というだけの理由だ。

 結論から言うと、さすがに面白かった。ただの友情モノと言ってしまえばそれまでなのだが、ひとの心の機微、というヤツなのか、「美しいな」と思った気がする。ただ、正直に告白すると「さぶ」という作品名から、いわゆるそっち系の話かと思っていた。主人公の二人が、いつか間違い(というのか?)を犯すのではないかと途中まで思いながら読んでいたのだ。墓場まで持っていきたい恥ずかしい秘密である。

 そういえば、直木賞受賞作が好きなのだが、直木三十五の作品を読んだことがないな、と今気付いた次第である。心のメモに書き留めておこう。

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